10月初旬、調剤薬局大手の日本調剤が「調剤業務の一部委託事業で異なる法人間の委受託をスタートする」と発表した。調剤事業の一部委託とは、15年に厚生労働省が策定した「患者のための薬局ビジョン」で示した対人(患者向け)業務充実に向けた対物(調剤)業務効率化の手段として、錠剤の一包化に限り、別の薬局に委託することだ。むろん、どこででもというものではない。可能なのはこの事業のテストケースとして国家戦略特区に認定された大阪市内だ。


 日本調剤は8月に大阪市内の同社の薬局同士、具体的には大阪市鶴見区の「はなてん薬局」と平野区の「喜連東薬局」との間で調剤業務の一部委託、受託をスタートさせたばかりだ。


 だが、今回、同社は異なる法人の調剤薬局との間で一包化調剤を委託、受託する事業を始めるというのである。異なる法人とは調剤薬局事業を急拡大させたスギホールデイングスの中核スギ薬局である。いわば、ライバル関係の薬局同士が一包化を委託し、受託するという。調剤業務の効率化を図り、服薬指導後の患者に対する薬剤師のフォローが可能になるそうだ。事業は11月上旬にもスタートさせるというが、果たして今後、調剤薬局のあり方は大きく変わるのだろうか——。